何でもない日常を大切にしたいと思わせる作品「うきま」

現在、東京エプサイトで開催されている。第2回「epSITE Gallery Award」最優秀作品賞受賞作品、本田光氏の写真展「うきま」

優れた作品を作る人は、もちろん技術やセンスは優れているのは間違いない。ただ、それ以前に、心に映っている時点で違うのではないだろうかと以前から思っていたが、それを肯定してくれたような気がする。

私自身、以前、本田夫妻とは同じ会社で働いており、これまでにも何度か展覧会にはお邪魔している。以前からのりこさんとの日常の写真は撮られていたが、今回、初の個展だとのこと。

非常にお人柄も良く、私の出演するイベントにもおふたりで何度か足を運んでいただいているが、この作品の出来上がった10年間、いえ、それ以上前から、全く別の方向からおふたりを見ており、なんだか、不思議な気持ちになった。

当日はご夫妻ともに在廊されており、気に入った写真の前で記念撮影をして、チェキでプリントしてくれるというサービスがあり、私はスニーカーの写真の前で写真を撮ってもらった。もちろん、この作品も良かったが、実は一番気に入った写真は別にあった。どうしてそこで撮らなかったかというと、あまりにも恐れ多かったのだ。

それは、のりこさんのアップ写真で、大判カメラ8×10で撮った作品。
一般の女性のアップ写真といえばおそらく、よりきれいに見えるように明るくライティングして、場合によっては後から不都合な部分はぼかしたり消したりする必要もあるだろう。しかし、私自身がのりこさんとは同い年なので言えることだが、年齢相応の陰影を隠さず、あえて強調しており、それがとても美しく、アートとして強烈なインパクトを感じた。
本田さんご自身の表現力と、のりこさんご自身もアーティストであり作品になりきった相乗効果ではないかと思う。

本田ご夫妻とその作品 撮影:千葉桜 洋(ちばざくら よう)

作品のほとんどが、大判カメラと二眼レフで撮影されたもので、普通すぎるぐらいの普通の日常を大切にスローモーションのように丁寧に保存した作品で、来場していた方々が「映画を見てるみたい」と口々に言われていたが、私も同じように思っていた。

おふたりと出逢った頃、本田さんは映画を撮っていて、のりこさんは絵を描いているという頃だったが、そういう経歴が作品にも映し出されているのではないだろうか。

もうひとつ印象深かったのは、写真を見ているときに、ふとキラキラと水面の輝きのような映像がふと目に入り、あれっ?なんだろう?と思うと、プロジェクターで写し出された動画作品。これもまた、淡いトーンで心の中の追憶を語っているようだった。

第2回「epSITE Gallery Award」最優秀作品賞 受賞作品、本田光氏の写真展「うきま」
今週、水曜、5/11まで開催されていますので、是非、足を運んでみてください。
きっと温かい気持ちになれると思います。

2022年4月28日(木)~5月11日(水)
11:00~17:00
エプサイトギャラリー

https://www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/exhibitions/2022/0428/

コメント

タイトルとURLをコピーしました