地域のコミュニティバルでありたい「Y206 ふじみ野ワイン」

東武東上線 ふじみ野駅西口から徒歩1分、おしゃれなお店でいつも賑わっており、
ずっと気になっていたお店でした。

昨年5月のある日、外のガラスにランチパスタのメニューが貼ってあるので、
「あれ?ランチなんてやってた?」
と、ふと立ち止まって見ていたところ、
掃除をしていたお店の方が振り返って満面の笑みでにっこり。

その日は急ぎの用があったので立ち寄れませんでしたが、
6月に入ってから初めてランチに行ってみました。

晴れた日の午後、初めていただいたのは大葉のジェノベーゼ。
大葉の香りとオリーブオイルの香り。
そして遠慮がないしっかりした味。
居心地のよい空間とゆったりとした時間。

「ちょっと失敗したデザートなんですけど、食べます?」

と、ピンクグレープフルーツのソルベをサービスで出してくれたのですが、私にとっては大満足。
その日からお気に入りのお店になりました。

しかし、度重なる緊急事態宣言下で、飲食店にとってはまさに逆境。
なのに、お店に行った時だけではなく、前を通りかかったときにもチラッと見ると、いつもブレずに店主はいつも明るくサービス精神旺盛。なんとプロフェッショナルな方なんだろうと、いつも思っていました。


来月、7月で開店6周年を迎える「Y206 ふじみ野ワイン」
今回は、ここまでの経緯、お店のコンセプト、ワインやメニューについて
店主の森田武士さんに、改めてお話をお伺いしてみました。

Y206 ふじみ野ワインの現在まで

ー森田さんは昨年の5月からこちらのお店にいらっしゃると言われていましたが、5年ぐらい前にもいらっしゃったとか・・・?どのような経緯だったのでしょうか?

今年の7月1日でこのお店が6周年になるんですが、実はご依頼を受けてここのお店のプロデュースをさせてもらったんですね。

軌道に乗るまでの1年半ぐらいお店にいてサポートをさせていただいたんですが、次の仕事のお約束があったので、2017年の12月末にてサポートのご契約を解除という形にさせていただきました。

その後は紆余曲折ののち、渋谷にある親友がやっている串揚げ屋さんで店長として1年半ほどやっていましたが、去年の1月頃にここのオーナーさんから、店を閉めようと思っていると連絡をいただいて、戻ってきてくれないかというお話をいただいたんです。

まわりに相談したところ、快く応援してくださって、皆の応援、協力があり、会社を起こしてここを引き継ぐという形で戻ってきました。


ー大変な時期のスタートになりましたね

そうですね。まず、5月にお酒が出せなかったので、町の飲食店の状況をリサーチしながら、ひとまずランチをやろうと思ってランチを始めました。6月にお酒が解禁になって、昔のイタリアンのメニューをそのままやっていたんですが、どうもしっくりこないと感じて「和」を入れてみようかなと思いたって、10月から「ワインとお出汁とおばんざい」という現在の形になりました。

(※カウンター席はアクリル板で仕切られています)


ーインターネットのグルメサイトで「地域のコミュニティバルを目指したい」という記事を見かけましたがコンセプトはやはりそういうところですか

オープン当初は人がたくさん来てくれていましたしね。円形のカウンターにした理由は、新しく来てくれたお客さんと密に会話できたり、お酒の力を借りてお隣のお客さんとも仲良くなったりとか情報交換したりとか、そういう場所になるといいなと思っています。


ー客層は少人数が多いですか?どのぐらいの年代の方が多いですか?

主に1人~2人が多いですね。20代半ばから70代ぐらいまで。でも、層として多いのはおそらく40~50代、その次が20~30代。今のメニューになってから、夜、女性1人で来られる方も増えましたね。

(※奥には4人用のテーブルと2人用のテーブルがあります)

人とのご縁が作ったメニュー

ーオーガニック志向に見受けられますが、ヘルシーなものを提供したいとか何か拘っていることはありますか?

特にオーガニックを意識しているわけではないです。
たまたまある時、ランチに来てくれたお客さまが、農家をやっていて、無農薬の野菜を作っているという出会いがあっただけで、一般の野菜も使っています。
うちはサラダを置いていないので、お通しでしっかりと野菜を出しています。 

(農園直送の野菜スティック)

豚肉は湘南のみやじさんという方が扱っているお肉で、これもご縁があってとてもおいしくて、いい方達で、素晴らしいものを作っているから、是非お客さんに食べてもらいたいと思ってお出ししています。

メインメニューの牛タンは去年の10月に倍に値上がりして、手が出せなくなってしまったので、もうやめようかと思っていたんですが、たまたまよい出会いがあって、継続できることになりました。お客さんからも支持されて人気のメニューになっています。

夜メニューの究極の牛タン刺し ¥980(税込)

それと、オープン当初のお客様で戻ってきてるお客様がたくさんいるので、そのお客様が昔食べたかったメニューをちょっと形を変えて作っていたりしています。


ーところで、1年目で、もう店主がいなくてもランチは回っているんですね

お店にいる誰もが同じ味を再現できて、お客様にとっても「シェフが料理したものじゃないと信頼性がおけない」と不満に思わない、満足できる状況を作っていこうと思っています。
僕はお店に来て、お客様とおしゃべりをして、常連さんのわがままなオーダーに応えいくだけというのが理想です (笑)


ーランチパスタにはお味噌汁がついてきますが、意外と合うので驚きましたが

パスタは最初はスープを出していたんですけど、意外といいかもしれない、と思ってお味噌汁にしました。
パスタメニューの大半は出汁を合わせて作ることを意識しています。1/3ぐらいは和のテイストを入れて、なるべく季節の素材を入れていきたいですね。


ーパスタは以前いただいたときは、大きなホタテが入っていましたが、時々変えているのですか?

変えています。ちょっと前まではホタルイカ、和風のペペロンチーノやたけのこなどを使っていたこともあります。ワインやお酒を飲む時に合うというのを意識しているので味はしっかり目にしています。


ー鮮魚丼はいただいたことがないですが、こちらはどんなメニューになりますか?

市場から直送、例えば、鮮度の高い愛媛県の鯛を、ごま油とお出汁の醤油で、海鮮丼のようなお刺身のイメージではなく、しっかりお味をつけて卵の黄身をのせて食べてもらう、時にはカツオも漬けにして、アボカドと合わせたりして提供するときもあります。

(※カウンター席はアクリル板で仕切られています)

いろいろな種類のワインを楽しんでいただきたい

主役のワインですが、品揃えにはどんなこだわりがありますか?

ワインは全て自分で選定をしています。産地とブドウの品種、話題性のある商品、話題作りに役立ちそうなものというのもひとつの要素です。

あと、グラスワインをなるべく豊富にメニューにインするようにしています。これはワインが空いている時間を長くしたくないというのもありますが、ボトルで頼む人もグラスで頼む人も同じ金額になるように5杯分に設定しています。

であれば、ボトルもいいですが、いろいろな種類を楽しんだ方がいいですよね。

バロン・ド・ランクロ・メルロ・ルージュ(仏) グラス ¥600(税込) ボトル ¥3000(税込)

錫(すず)製のビールグラスで冷えたビールを

ー食器も和食用に変えていると思いますが、何かこだわりはありますか?

唯一、ビールのグラスにはこだわっています。富山の能作というブランドで、錫(すず)でできています。さりげなくY206と刻印されているの、見えますか?

(能作:https://www.nousaku.co.jp/product/

熱伝導がよく、氷点下まで温度を落としたビールをキンキンの状態でお客様にお届けすることができるんです。

それと、ガラスのグラスと比べて特別感のある気持ちで飲んでもらえます。ただ、ビールを頼んだ方にはこのグラスで出しますが、ビール以外にはお出ししていないんです。

調度品については、食材が高騰しているので、今後、もしかしたら、どこかで値上げをせざるを得ない可能性も出てきますが、ただ値上げだけするのではなく、料理のプレゼンテーションと、器や食材のサービスも変える可能性もあるのでその一環として変えるかもしれないです。


ー当初、おばんざいを並べたいという企画があったと思うんですが実現しそうですか?

店内入り口の扉を開けっ放しで営業することが多いので、万が一虫などが料理につくことを懸念して実行しませんでした。また違う角度でお客様にプレゼンテーションできるようにしていこうと思っています。

街の人々に役に立つことをしていきたい

ー新メニューの予定などはありますか?

7月からは夏に向けて 新メニューの展開をしようと思っています。引き続き楽しいメニューを考えていきたいです。


ーほかに、これからやっていきたいことはありますか?

町の人、この町に来る人に役立つことがしたいなと思っています。

たとえば、文京学院大学のバス停、長蛇の列になるの知ってます?あれ、真夏の炎天下でもそうなんですよ。そんな時に、熱射病にならないように、朝だけの販売で店頭でレモネードを安く売ってみたいなと思っています。なるべく安価でおしゃれなカップで提供したいと、じつは、プラのカップのデザインはもう取り掛かってるんです。

そして、レモンやはちみつなども、なるべくご縁のある場所などから材料を取り寄せて商品開発できるといいなと思っています。そんなプレミアムなものなのにこんなに安くていいの?とお客さんも潤って、もちろん商売ですから自分たちも潤うように、そこの線引きを定めながら提供していきたいです。

ーありがとうございます

ここまでお話をお伺いしたあと営業開始となり、もう早い時間からお客様がいらしていました。

ジャズの流れるゆったりとした店内、スタッフの方々も気さくでお話上手。酒のお好きな方はもちろん、お酒の飲めない方も、きっとお料理とこの雰囲気で満足されると思います。


(2022.06.02)

住所:埼玉県富士見市ふじみ野西1-20-6 
東武東上線「ふじみ野駅」徒歩1分
電話番号:049-295-5311
営業時間:11:30~15:00 17:00~23:00
定休日 月 毎週月曜日 月曜が祝日の場合は営業 翌日

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